ひとは、長期的なストレスを受け続けていると自分を守る為に様々な反応を引き起こします。
例えば、夜眠れなくなったり、仕事中にイライラしたり、最終的には「うつ病」をひきこしたりまします。
それでは、詳しくみていきたいと思います。
ストレスは「悪いもの」?!
太古の昔、我々人間は、狩猟採集民族でした。
生きていくために、獲物を狩り木の実等を採集しなければいけません。
獲物は、「生き物」であり相手も動物ですから、そう簡単には捕まってはくれません。
獲物を狩るときは、まさに「命がけ」です。
こちらが殺される可能性も十分に高いのです。
そんな命がけの状態の時は、頭よりも「体」の方を素早く反応させる必要があります。
速く走り、すばやく動き、槍を力強く投げたり、獲物を斧で攻撃したりしなくてはいけませんから体に大量の血液を送らなければいけません。
心臓は、通常よりも早く鼓動し全身に血液を送ります。
脳は、今現在起きている事に集中し、瞬間的な判断をしなければいけません。
胃や腸は、活動は停止し、もし胃の中に余計なものがあれば排出しようとします。
筋肉は、最大限のパフォーマンスを出すために、カロリーを消費し、熱を放出して汗をかきます。そして、筋の収縮率は最大となります。
そして、ようやく獲物を仕留めることができ、自分の身の危険が去った状態になってようやくほっと安堵するのです。

狩猟時代において「ストレス」は自分の身を守る為に必要不可欠でした。
自分の命を守る為に、ストレスは必要なもの
昔は自分自身を緊張状態にして、「戦う」か「逃げる」かの判断を常にしなくてはいけませんでした。
しかも、瞬時にです。
こうして、人類の歴史上長年に渡って自分の命を守る為に「ストレス」は必要不可欠なものだったのです。
話を今に戻すと、現在では獲物を集団で獲る必要性はほとんどなくなりました。
つまり、「命がなくなる危険性」が極端に減ったのです。
しかし、「ストレス」に対する反応自体が消えたわけではありません。
我々は、脳の深い部分でストレスに対して「戦う」か「逃げる」かの判断を自動的にしているのです。

太古の昔は、命の危険に晒されるのはおよそ短時間でした。その脅威と戦うか、逃げればいいので、ストレスが長時間続くことはありません。
現代でのストレスとは…?
しかし、この現在では命までは奪われないものの、「長期的なストレス」がかかっている状態です。
・満員電車で会社へ通勤する。
・仕事で毎月「ノルマ」がある。
・嫌な上司がいる。
・気の合わない同僚がいる。
・自分の企画を発表する。
・家庭に自分の居場所がない。 などがあります…
このように、長期的かつ継続的にストレスがかかった状態にあると脳は常に「戦う」か「逃げる」かの選択を迫られている状態です。
脳を働かせる為には、想像以上のエネルギーを必要とします。
ですから、基本的に脳は「低燃費運転」をしています。
できるだけ、普段は働かないようにしているのです(いざという時に備えて)。
なるべく働かないようにする為に「記憶」が重要になる!
なるべく脳を使わないようにする為には、過去にあった「経験」を学習していることが重要です。
初めての経験は、脳はその事象に対応しようとする為にフル回転します。
しかし、2度目の経験では1回目の「記憶」がありますから、その記憶を基に同じように行えるようにしています。
なるべく脳の活動を抑えるようにしています。
つまり、経験したことに対しては脳は寝ていてもできるようにしているのです(極端に言うと)!
若い頃は、見るもの、触るものが初めてで毎回脳がフル回転し、脳のシナプスが発火しまくっていたのですが、歳を重ねると既に経験済みのことが多い為、脳がいちいち発火せず、刺激が少ないと感じるのです。

この記憶をより鮮明に脳のインプットさせるのに必要なのが、「ストレス」なのです。
軽度のストレスは、脳に刺激を与え記憶として定着させようとする働きがあります。
瞬間的に記憶しなければならない場面、例えばメモ用紙が手元になく、取引先の方が重要な数字などを伝えてきた場合に、脳は一気にストレスを増加させ記憶させようとします。
また、試験などにおいては、その日までに覚えなければいけないという「ストレス」があるので、記憶力は向上します。
テストが終わると、徐々に記憶が薄くなっていくのはその為です。

長期的にストレスがかかるとどうなるか?
狩猟時代は一時的にストレスがかかるものの、数時間単位でストレスは去っていきました。
しかし、我々現代人は常にストレスがかかっているような状態です。
そのような状態に置かれていると、脳は「休む」ことができません。
常に、「戦う」か「逃げる」かの判断をしなければなりません。
戦うにしろ、逃げるにしろ体の状態は「ON」にしておく必要があります。
・血圧は上昇し、常に動けるように全身に血液を送らなければならない。
・瞬発的に動かなければならないので、常に緊張状態にある。
・筋肉自体が緊張していなければならない為に、肩こりなどを引き起こす。
・水分は筋肉で消費しなければいけないので、口が乾く。
・胃の中は空の方が速く動ける為、嘔吐させようとする。
・内臓の働きは後回しにする為、腸の正常な働きは低下する。
・排せつ機能も後回しになる為、便秘がちになる。
・生殖行動も後回しになる為、生理機能も低下する。
・寝ている場合ではないので、入眠困難になる。
このように、常に「ストレス」にさらされた状態では、様々な生活に支障をきたす事が起きてきます。
現代病と言われる、「高血圧」や「不眠症」、「糖尿病」なども「ストレス」が原因に引き起こされている可能性があるのです。
また、常にイライラするのは、脳の状態がフラットではなく「闘争」状態にある為とも言えます。
ストレスが溜まり、常にイライラしていると些細な事で感情が爆発してしまうことがあります。
人前で、「怒鳴ってしまう」ということがある人は、要注意です!
このような状態が続くと脳はどうなるか?
このようなストレス状態が続くとどうなるかと言うと、脳は「機能停止」します。
ちょうど、パソコンの電源を切った時のような感じです。
脳はシャットダウンします。
これ以上の情報や刺激を受けると人間本体が壊れるということを察知して脳は強制的に機能停止をするのです。
これが、「うつ病」です。
何を見ても、何を聞いても反応できず、なにを食べてもあまり味がしません。
背景から色が抜け、まるで白黒写真のような世界になります。
体を動かすことさえできずに、ベッドに一日中寝ていることになります。
でも、眠れるわけではなく、目は冴えています。
このように非常につらい状態になってしまうのです。
しかし、この状態も自己の回復をじっと待っている状態でもある
とりあえず、外部からの刺激を遮断し、体を強制的に休めているいう風にも取れます。
それは、まるで世界が危険な時にシェルターにでも逃げ込むような行動に似ています。
自分という世界が危険に晒されているので、一時的に安全を確保する為に避難しているとも考えられます。
だから、うつ病で悩んでいる人は、あまり「気落ち」しないでください。
今は、「休む」時なのです。
じっくりと体の回復を待つことも大切です。
周りの事は、あまり気にせず「ゆっくり休みましょう」。
まずは、眠れるということが重要です。

まとめ.
ストレスは、この現代社会にとって避けては通れないものになってきています。
太古の昔は、ストレスも一時的でしたが、現在では慢性的にストレスを抱えています。
このストレスをうまく、発散しコントロールしていく事が我々現代人には求められているスキルになってきています。
現代人は、高血圧や肥満、不眠症などいわゆる「現代病」といわれる病気を抱えている人が多いです。
<スマホのブルーライト>
ちょっとだけ触れておくと、スマホのブルーライトは不眠を招く要因になります。もともとブルーライトは太陽の中にあり、我々を活動的にして獲物を獲りにいったり、食べ物を食べて脂肪として蓄えるようにする為の刺激です。夜中に食欲が増加するのはブルーライトの刺激のせいでもあるのです。
大切なのは、規則正しい生活と良質な睡眠の確保です。
避けられるストレスはなるべく避けて、うまく生きていければいいですね。
最後まで読んで頂きありがとうございます。ではでは~!
