結論から言うと、人間の脳は「エラーを判定する機能はあるが、できている部分を探る機能はない」からです。
それでは、詳しくみていきましょう。
人間はできていない部分に目がいく
あなたが、子供のころにテストを返された時を思い出してみてください。
例えば、80点とったとしましょう。
あなたは、80点とったという喜びは、もちろんあるができなかった20点の部分がとても気になってしまったのではないでしょうか?
また、先生もそのできなかった部分を指摘してきたのではないでしょうか?
人間の脳は、できている部分に対しては注意が向きにくいという特徴があります。
これも、脳が「低燃費運転」をする為の機能の一つです。
脳は効率よく学習していく為に、できている部分よりも、「できてない部分」に注意が向くようにできています。
なぜこのようなことが起きるのかというと、人間の脳の認識は「差分」によって行われるからです。
やらなければならないことがあって、そこに問題なく到達してしまうと「差分」が生まれず、予定通りにできてしまった事には注意が向きにくいのです。
だからこそ、意識的に注意を向けていかないとできた部分に対してはスルーしてしまうことが多いのです。
一方、職場で起こっていることとは?
職場でも、同じようなことが起こっています。
上司は、部下に対して指示を出します。例えば何かの企画書の作成を依頼したとします。
上司は、部下が作成した書類に目を通し、できている部分は「スルー」し、できていない部分を「指摘」すると思います。
当たりまえの光景に見えますが、上司も人間ですから「脳機能」として、そのようにできていない部分に目が行ってしまうのです。
上司は、部下のできていいない部分を指摘し、部下はできていない部分に対して反省し、落ち込むという図式が成り立っています。
脳は、できていない部分を探すようにできている
その結果、人間は人のできていない部分にばかり目がいき、人のいい部分に目が行く事が少ない。
このことから、人間は基本的に「粗探し」の方が得意と言えるのです。
人間は、自分の事でも、他人の事でも「できていない部分」に目がいきます。
これは、太古の昔より効率よく生存する為に身に着けたスキルの一つであると言えます。
狩猟時代は、集団で獲物を捕らえるわけですが、各自がそれぞれの役割を果たしそれぞれの機能をいかんなく発揮しなければ獲物を捕らえることができません。
その為、それぞれの不足している部分を指摘し、熟練させてお互いの能力を向上させる必要がありました。
その方が獲物を捕らえられる確率が上がるのです。
獲物を捕らえるために、相手(人)の能力アップは死活問題でしたから、相手がどう思うかとか言うよりも命がけの絶対条件だったのです。
現代でも、できない部分に目がいくが、受けとり方が変わった
昔は、生きるか死ぬかの瀬戸際で、獲物が取れなければその集団は餓死していまいますから、みんな必死です。
しかし、現代はそのようなことはありません。
企画書の一部分が抜けていたとしても、死に直結することはありません。
それでも、上司が部下のミスばかり指摘しているのは「脳機能」のせいだという事を少し認識しておいてください。
そうゆう脳の機能があるから、しかたないのかなと思えると少し楽になります。
しかしながら、指摘された方は、自分もそこに意識が向きますから当然「落ち込みます」。
すぐさま、命の危険はないが、へこむので少しづつ精神が削られていきます。
できない部分に目がいくのは、脳の機能なので、意識的に「できている部分」に意識を向けましょう。
できていない部分よりも、できている部分を意識する
上司の方も、部下の方も意識して「できている部分」を探そうとしないと脳は「スルー」してしまいます。
ですから、意識的に「できている部分」を探そうとしてください。
人を褒めようと思った時には、意識的に「いいところ」を探そうとしないと人間は探すことができません。
そして、いい所を見つけたら、言葉に出して褒めてあげてください。
日本人は、昔から「以心伝心」や「言わなくてもわかるだろう」などというやや自分勝手な思い込みがあります。
人には、言葉にして伝えないと「伝わりません」。
良好な人間関係を築くためにも、積極的に言葉に出して伝えるようにしましょう。
まとめ.
人間の脳は、できている部分にはあまり意識が行きません。
それは、太古の昔から効率良く獲物を狩る為に、集団で最大限の能力を発揮するために「できていない部分」を改善させる必要があったからです。
ですから、人は基本的に「粗探し」が得意なのです。
できない部分にばかり目が行きがちになりますので、人の良い部分を褒める為には、意識する必要があります。
職場の人間関係を良好に保つ為にも、意識的に相手の良い部分を意識的に探すようにしましょう。
最後まで読んで頂きありがとうございます。ではでは~!
